人生とは・・・

ある少年が老人をボートに乗せて広い川を渡っていた。老人が水面に漂う落ち葉を一枚つまみあげ、

しばらくじっと眺めてから、少年に向かって、生物学の知識はあるかと聞いた。

少年が「いいえ、ありません」と答えると、

老人が言った。「君は、人生の25%を無駄にしたな」

ボートは水面を進み、老人が船底にあった石を拾い上げた。てのひらに載せた石をころがし、

その色合いをじっと眺めてから聞く。「地質学について、何か知っているかね?」

「いいえ、知りません」

「君は、人生の50%を無駄にしたな」

宵闇がせまり、老人が輝き始めた北極星をうっとりと見上げた。しばらくしてから聞いた。

 「天文学について、何かしっていることは?」

少年は頭をたれ、眉をしかめて「いいえ、ありません」

老人がとがめるように、「君は、人生の75%を無駄にしてしまったな!」

ちょうどそのとき、少年は、上流のダムが決壊し始めて、

そこから大量の水が川に流れ込んでくるのに気づいた。

素早く老人に向き直り、声をはりあげる。「泳げますか?」

「いや、泳げない」老人が答えれると、少年はすかさず言い返した。

「あなたは、人生そのものを失いましたね」